最近、身長が低くなってきた。ささいなことで骨折をした。
腰が曲がってきたような気がする。背中が丸くなってきた。背中や腰に強い痛みが出てきた。
ほとんど自覚症状がないため、知らないうちに骨粗しょう症になっている人も。背中や腰に痛みが出たりするのは、脊椎の一部がスカスカになって、いつの間にかつぶれてしまう圧迫骨折になっている可能性があります。
骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気のことです。
閉経後の女性に多く見られ、日本では約1000万人以上の患者がいると考えられていますが、実際に治療を受けている人は少なく、気づかないうちに骨折している人もたくさんいます。
女性の病気というイメージがありますが、患者の4人に1人は男性です。
男性の場合、治療を行わずに放置していると重症化しやすく、大きな骨(大腿骨や腰椎)を骨折することが多いため、早めの診断と治療が大切です。
人間の骨は3年で新しく生まれ変わっています。
古くなった骨が壊されることを「破骨細胞による骨吸収」、新しい骨がつくられることを「骨芽細胞による骨形成」といい、この骨吸収と骨形成がバランスよく行われることで健康な骨がつくられます。
加齢や閉経などでこのバランスが崩れると、骨吸収で失われた部分を埋めるための骨形成が追いつかなくなり、骨の量が減って骨粗しょう症が起こるのです。
女性の場合は、閉経で女性ホルモンの分泌量が少なくなり、破骨細胞をコントロールしているエストロゲンも低下するため、骨吸収のほうが盛んになってしまい、骨密度が急速に低下します。
その他の要因として、カルシウムやビタミンDの不足、運動不足、極端なダイエット、コラーゲンの劣化などが挙げられますが、多くの要因が複雑に関係して発症する病気のため、原因を一つだけに絞ることはできません。
アルコール依存症や胃腸疾患、内分泌疾患などの病気や抗うつ剤など薬の副作用で発症することもあり、男性の場合はこれらが原因となることが多いようです。
塩分の多い食事やインスタント食品、スナック菓子などを食べすぎると、カルシウムの吸収が妨げられるため、なるべく控えるようにして、ビタミンやカルシウムが幅広く摂れるよう、バランスのよい食事を心がけましょう。
基本は、食事療法や運動療法で生活習慣を改善することです。
ふだんから、カルシウムを多く含む食品を摂るだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKが豊富な魚介類や納豆などを積極的に摂るようにして、バランスの良い食事をめざします。ビタミンDは、食品以外に日光からもとることができます。
また、適度な運動をすることで骨量を増やす効果が期待できます。続けることが大切ですから、散歩やウォーキングを日課にし、ストレッチなどを加えることで転倒しないための筋力やバランス力を身につけるようにします。
すでに圧迫骨折が起こっている人や骨密度が低下している人には、骨の吸収を抑える薬や女性ホルモンに似た働きで骨のカルシウムが溶け出すのを防ぐ薬、骨の形成をサポートする副甲状腺ホルモン薬などを処方することで、骨密度を高める治療をします。