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脂質異常症(高脂血症)

■こんな症状があったら!

健康診断で、コレステロール値が高いと言われた。とはいえ、どこも痛くないし、なんともない。

脂質異常症とは、血液中の中性脂肪やコレステロールなどの脂質の代謝が正常でない状態のことをいいます。
これまで、中性脂肪値が高い、もしくはLDL(悪玉)コレステロール値が高い状態を「高脂血症」と呼んでいました。ところがHDL(善玉)コレステロール値が低い状態も問題があるとして、2007年からは、これら3つの状態を「脂質異常症」と呼ぶようになりました。

脂質異常症による自覚症状は、ほぼありません。ほとんどの場合、定期健診などで数値の異常が指摘され、初めて判明します。脂質異常症から起こる動脈硬化が「沈黙の病気」といわれるのは、そのためです。
脂質異常症には、他の病気に付随して発症するタイプがあり、たとえば甲状腺機能低下症や副腎皮質ホルモンの分泌異常、糖尿病、腎臓病、肝臓病などの症状がきっかけとなって判明する場合もあります。

■原因は?

主な原因としては、遺伝的なもの、過食や脂肪の多い食生活、運動不足、ストレスなどが挙げられます。
近年、脂質異常症の患者が増えた背景には、食の欧米化が進み、動物性脂肪の多い食事が増えたこと、車の普及などによって慢性的に運動不足であることが大きく関係しているといわれています。
中性脂肪値が上がる原因としては、果物や甘いお菓子の食べ過ぎ、甘い清涼飲料水やお酒の飲み過ぎなどがあります。
コレステロール値が高くなるのは、脂肪の多い肉、卵、乳脂肪分の多いバター・チーズ、インスタント麺などの食べ過ぎが原因です。
また、たばこを吸うと善玉コレステロール値が低くなり、脂質異常のの状態になりやすいことが分かっています。
運動不足も、体内で消費されるエネルギーが減り、脂質の代謝悪化に拍車をかけます。このように、大半の脂質異常症が食生活、運動不足、肥満などが原因で起こると考えられています。

■治療法は?

まずは食生活の改善から始めます。
2020年、厚生労働省より、脂質異常症がある場合には、重症化を防ぐためにコレステロール摂取量を1日200mg未満に抑えることが望ましいと発表されました。その趣旨は動物性脂肪のかわりに魚や植物性の油をたくさん摂ること、コレステロールの吸収を抑える食物繊維をたくさん摂ること、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸の過剰摂取を避けること、アルコールの摂取を控えることなどです。
また、1日30分以上の有酸素運動(ウォーキング、水泳など)を取り入れることをすすめています。
食事や生活習慣を変えても数値の改善が見られず、動脈硬化の傾向があったり、糖尿病などを併発している場合には、コレステロールや中性脂肪を低下させる薬を処方して早期改善を目指します。